応用情報技術者試験
平成28年秋の応用情報技術者試験に合格していましたので本記事の作成にあたりました。
勉強期間は約1ヶ月で、がっつりやる日も全くやらない日もありました。
どういう時間配分かはともかく、「やるべきこと」をまとめます。
応用情報技術者試験とは
情報処理推進機構が行っている情報処理技術者試験の一種です。
レベルは以下
1.ITパスポート
2.基本情報技術者
3.応用情報技術者
4.高度情報技術者
のように区切られており、レベル3に該当する試験です。
ITパスポートはいわゆる「教養」としてのレベルを扱っており、基本情報以降からその分野の専門知識が問われるようになってきます。
応用情報技術者試験の価値
外的な価値
応用情報技術者としてのレベルは、実を言うと高度情報技術者のレベル4が最高ではありません。想定されているレベルの区分けとしては以下の図のようになります。
すなわち応用情報技術者として想定される、あるいは期待されることは作業を独力で遂行できるくらいの知識や技能を有することです。
当然、この試験を受けたからと言ってそういう人間に突然変異するわけではありません。問われる問題のレベルがそのようなものであると考えればいいでしょう。実社会で上手く立ち回れるかはまた少し別の問題ではありますが、試験によって一定の評価(あるいは期待)を得られそうだということが分かります。
内的な価値
上記は外的な要因による価値です。資格を一切見られることがない環境において、外見の評価など全くどうでもいいというのが実際のところでしょう。しかしこの試験には、誰も資格を評価しなかったとしても得られる価値があります。
それは勉強の指針を得られるということです。
応用情報技術者試験は非常に広範囲に渡る問題を出題してきます。その全てに触れているうちに、自分が得意な分野や好きな分野というものが見えてきます。取り組んだことがなかった分野が意外と面白いと思えたり、自分の長所を再確認したりなどの機会が得られるのです。
これは言葉以上に大きな価値があると思っています。
何かの勉強を始める時というのは当然「初めて」であって中々上手く行きません。そしてそもそもきっかけがない限り始めようとすら思わないはずです。応用情報技術者試験を受けると多くの分野を学ぶきっかけが得られます。
実際私自身、一切勉強をしていない状態で思いつきでこの試験に応募しました。勢いで応募し「お金を払ってしまったからやるしかない」くらいの思いで勉強を始めたのです。きっかけは何でもいいのです。試験という課題と、合格という目標、そしてお金を払ってしまったという前投資がモチベーションを維持させました。
応用情報技術者試験の範囲と形式
試験範囲
応用情報技術者試験の範囲は以下のとおりです。
(出題範囲|応用情報技術者試験.comより転載)
試験の形式
午前試験はマークシートで上記の範囲が万遍なく出ます。
午後試験は記述式で、セキュリティ必須で、それ以外から更に4つの分野を選び解答します。
午前試験に関しては有無をいわさず勉強するしかありませんが、例年何割かの問題が過去問そのまま使いまわし状態です。
午後試験に関しては同じ問題がそのまま出ることは一切ありません。分野の選び方などについてある程度戦略を必要とします。これは後に紹介します。
合格のために具体的に取り組んだこと
応用情報技術者試験について調べる
まずはこれを行いました。私自身は応募してから詳しく調べ始めましたが、応募する前に調べてもいいでしょう。頭に入れたのは上記で説明してきたことでほぼ全てです。しっかりと応用情報技術者試験のことを知って、モチベーションを維持しましょう。
問題1つ1つが高難易度というわけではない
この試験は問題1つ1つの難易度が高いというよりは、膨大な範囲の勉強を同時に行うことに難しさがあります。どれか1つに苦手意識があり、足を引っ張ると午前試験で不合格になるということが起こってきます。
しっかり基本的なことを満遍なく学べば合格は難しくはありません。
基本情報より簡単?
しばしば、「基本情報の方が難しい」などと言う意見が述べられますが、実際にプログラミングやアルゴリズムの範囲において基本情報と同等以下の難易度しか無いと言えます。問題はそれに対して有り余る膨大な範囲です。情報技術分野の知識のある人は明らかに基本情報の方が簡単だと感じるでしょうし、文系出身であれば応用情報の方が簡単に感じるのでしょう。
仮に「基本マネジメント試験」とか「基本ストラテジー試験」というものが存在すれば、多くの理系はこれらより「応用情報の方が簡単だ」と言うでしょうし、文系の出身であれば上記2つの架空の試験を簡単だと言うでしょう。
様々な意見がネットでは飛び交います。
しかし単にバックグラウンドの問題です。試験そのものの一般的な難易度の議論ではありません。その人の問題です。
ただ、基本情報のほうが難しいという意見がわざわざ出るのは、「応用情報の方が難しい」という前提があるからです。でなければ、わざわざ主張することではなくなります。自分にとって応用情報のほうが簡単に感じるならばそれはラッキーだというだけのことです。
私はガチガチ理系の人間なので、マネジメントやストラテジ分野は最初は戸惑いました。
しかし得意不得意、好き嫌い、興味無関心に関わらず広範囲に及ぶ勉強を迫られるため、むしろ、勉強している途中で得意になったり好きになったり、興味が湧いてくる可能性があるのが良いところです。
私はストラテジに関して少しおもしろみを感じられるようになりました。
午前問題対策
まず過去問を解く
唐突ですが、ある程度情報技術者試験について調べたら、次にすべきことは午前問題の過去問を解くことです。知識0からで構いません。やってズタボロになりましょう。
この段階で、自分が何を知っていて何を知らないかが分かります。意外とできてしまう分野も出てくるでしょうし、問題の意味も選択肢も何もわからない場合もあるでしょう。その場合はすぐに解答を見て覚えてしまいましょう。
この際は必ず選択肢全てについて検討をすることが重要です。解答を見ながら、なぜ他の選択肢ではないのか、他の選択肢は一体何なのかをそのときに考えるようにしましょう。
選択肢が一緒で問題文が少し変わるだけの場合もあります。そういう場合に、1つの問題ですべての選択肢について検討しておけば二重の対策を施すことができます。
問題集を買ってもいいですが、まずは以下のサイトで過去問に取り組んでみてください。
(実際ここでの過去問に取り組めば午前問題については必要十分です)
参考書の必要性は?
参考書を私は買いました。
しかし使いませんでした。要りません。断言します。
どうしても分からないことは大抵ネットで調べれば出ます。
問題集の必要性は?
問題集も必要ではありません。
しかしあると助かります。
理由は、午前問題は過去問の使い回しが多いので、それらを考慮して問題が編纂されている場合にはそちらを使ったほうが効率的であるからです。
もちろんひたすら過去問を遡ってやっていけば、みたことある問題に遭遇し、自分で頻出問題を把握できるでしょうが、それよりもプロがまとめたものを使ったほうが早いでしょう。
最終到達点に変わりはありませんが、お金を払って頻出問題をまとめてもらう作業を任せるかどうかという視点で選べばいいでしょう。
私はケチったので以下を買いました。
頻出問題という観点においては以下の問題集も良さそうです。
いずれにしても問題集は過去問を集めたものであって、それはネットで手に入るので、問題の選定に価値があると言えます。頻出問題を集めたものを選びましょう。
問題集、あるいは過去問を丸暗記する
まず過去問に取り組んでみて、雰囲気を感じ、その後問題集を買うか過去問演習を続けるかを選んでください。問題に取り組む指針ができたら、とにかく1つのことに集中しましょう。
あっちにいったりこっちにいったりしないで、繰り返し同じ問題を解いてください。過去問を解くと決めたならば、例えば最新4回分を全部暗記する。問題集をやるならその1冊を丸暗記する。それくらいの意気込みで取り組みましょう。
ここでいう丸暗記とは、説明しろと言われたら説明もできるのだが、問題文からオートマチックに答えが出てしまう状態のことです。
ここに至るには、結局は理解という過程を通ることになります。でなければ何百問も丸暗記状態になんてなりません。やっているうちに理解したことを思い出す処理が省略されるようになってきます。
自分が機械学習のマシンになったつもりで、何十エポックと回してください。
理解度のチェック
丸暗記すると決めた問題群を丸暗記し終えたら、全く新しい問題に取り組んでみてください。
おすすめは応用情報技術者ドットコムのオリジナル問題集です。
これは過去問などの傾向を踏まえて編纂された問題集で、やってみると過去問より難しいという感覚を覚えるはずです。このときには解答を見るというのは最後に回して、しっかりと採点を行ってください。合格は6割ですが、できれば7割以上を取れるようにしましょう。
7割以上取れていれば、丸暗記してきた知識をテストデータに対して上手く適用できたことになります。
繰り返し暗記範囲を広げる
更に暗記範囲を広げましょう。目標は
1.問題集+過去問3回分
2.過去問8回分
のいずれかくらいで考えておけばいいでしょう。
覚えれば覚えるほど良いに決まっていますが、あまり古い問題に遡っても無駄な問題も出てきてしまいますしキリがありません。
そしてこの辺を取り組んでいる頃には実際にはかなりの自信がついています。
なぜなら新しい過去問を暗記しようと取り組み始めたときに、すでに普通に問題が解けてしまうからです。過去問が使いまわされていることもありますが、単純に適用力も付いて行っています。
もちろん暗記範囲が広がったら適宜オリジナル問題集に取り組んでみてください。
ここまできたら、同時に午後問題対策へ移行して良いです。
私自身はここまでに一ヶ月のうち3週間を費やしました。
もっと早めに午後問題を覗き始めても良いと思われます。
最終仕上げは補強作業
この部分は、午後問題と同時並行的に行います。詳しくは午後問題の対策についての場所で述べます。
以下は応用情報技術者試験の過去問を分野別に分けた問題集です。
これによって苦手だと思う分野を補強します。
しかし実際には午前試験は6割が取れればいいので、ガチガチに完璧にする必要はありません。上記までで過去問の暗記ができているならば、補強は必要ないかもしれないです。午前問題対策という意味では本当に心配な部分だけやればいいでしょう。
午後問題対策
問題集を準備
午後問題対策には問題集を買います。
私は以下を買いました。受けると決めているならばコレは準備したほうがいいです。

2017 応用情報技術者 午後問題の重点対策 (午後試験対策)
- 作者: 小口達夫
- 出版社/メーカー: アイテック
- 発売日: 2016/11/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
このシリーズの最新版を買えばいいでしょう。私は受けたのが今年の秋なので、2016年版を使っていました。もし中古で安ければ一年前のでも良いかと思います。
午後問題は同じ問題なんて出ないので丸暗記する意味なんて全くありません。ですから扱っている問題は最新版でなくても良いのです。
問題を一分野ずつ一通り解く
ここでやってほしいのは、全分野一通り解くということです。
以下のように全分野で11問あり、セキュリティ必須で、他から4問選択します。
まず11問解いてみて、本番でどの問題を選ぶのかを予め決めておくのです。
このとき机にじっくり腰を据えて解かなくてもいいです。しかし真剣に問題分を読んで解答の検討をすることは行ってください。それでも得意不得意は見えます。
私は実際に解答を書くということを行わない場合には一問20分足らずで終えることができていました。もちろん解答を書いていないので記述の詳しい採点はできませんが、最初はある程度的を得たことが思い浮かぶのかが検討できればいいです。
これは2日か3日で済ましましょう。できれば一日で検討を付けましょう。
予め、これは絶対受けないと心に決めているのであればそれは飛ばしてもいいです。迷っているものに関しては、何もせずに迷っているより一度触れたほうが早いです。しかし目的は本格的な対策ではなく、優先順位を決めることであるのを忘れないようにササッと済まします。
分野を決めたら午前対策へ
分野を得意な順に決めたとしても、意外と知識不足であることを痛感するはずです。
ここで、セキュリティを含めた5分野について、午前の分野別問題集に戻って基礎を徹底的に固めます。つまり分野別問題集は、午後対策における基礎固めとして使うのです。
自身が受けると決めた5分野をひと通りやってください。繰り返しやるのは量的に無理でも、意外と既知のことが多いので、丁度いい穴つぶしになります。
午後問題は午前問題の範囲を完璧にしていれば知識的に足らないということはありえません。午後問題で「思いつかなかった」ならまだしも、「知らない」ということがある場合には、それは午前問題の時点で危うい知識があるということです。
そこを徹底的に潰します。
問題文を読む練習
私は具体的な午後対策では買った問題集をひたすら読んでいました。
試験当日までにできるだけ問題に触れるようにしましたが選んだ分野のすべての問題に触れることはできませんでした。しかし一番大事なのは問題を徹底的に丁寧に速く読むことです。少ない問題でも、その解答の心得を体得するには十分なはずです。
午後問題ではポイントがいくつかあります。
1.問題分の話の流れ(順番)と設問の順番は必ずしも一致しない
2.問題分から単語、あるいは文章を拾って解答とする問題もある
3.問われる知識の範囲やレベルは午前同等以下
従って重要なのは、問題をしっかりと読み、問われていることを把握し解答することです。
午前問題にしっかり取り組んできたならば知識的には分かっていることが多いはずです。しかし、問われていることを勘違いしたり、理解はできても解答を見つけられなかったりすることで点を落とします。1.と2.について十分に慣れるために問題文を読む練習を必ずしてください。
できれば問題の全文を読む練習をしたほうがいいです。
設問を見てからその場所を探すという方法も構わないのですが、設問の順番と問題分が一致していなかったり、キーワードが離れていたりするために、広範囲を読むことになり気づいたら全文読んでいるということが普通に起こります。そうならばストーリーが分かるように頭から全文読んだほうが良いに決まっています。
設問から該当箇所を見つけるのと、全文を時間内に素早く読むのでは後者のほうが楽です。どっちが正しいということではなく、どっちが得意かという問題になってきます。私は後者が得意でした。大抵の人はそうでしょう。
自分がどちらが得意かを把握する上でも、徹底的に問題文を読むことを練習してください。
そのとき設問から読むというパターンを試してみてもいいでしょう。そして解答を頭なり紙なりに作り上げ、解答と比較してください。
どういう問題への取り組み方ならば上手く行くのかを検討するのです。
点数に一喜一憂しなくてもいいです。自分にとってどっちがやりやすいかをハッキリ決めてください。試験当日にどっちにしようかななんて迷ってる暇はありません。頭から読むなら頭から読む。設問から読むなら設問から読むです。
解く問題を決め、取り組み方も決めてあるならば試験時間はたっぷりあるので全文読んでも十分間に合います。
問題への取り組み方を決めたら
私は試験前日になってようやく紙にしっかり書いて午後問題を解きました。
午前問題による基礎固めが終わり、問題文を読む指針が決まっているならばその段階ですぐに取り組んでもいいででしょう。しかしこの段階だと新たに学ぶことはあまりありません。
学べることは、自分がどういう勘違いをしてミスを犯すのかと、相変わらずの知識漏れくらいです。どちらもできるだけ少なくしなければなりませんが、終わりもありません。
試験日が近づいてきたら自信を持ちましょう。とにかくしっかり読むこと、そしてそれができれば絶対に解けるんだという気持ちでいればいいです。
試験日前日
午前の分野別問題集と、問題文を読む練習をしていました。
新たに学ぶのではなく確認程度です。ここまできたら慌ててあれもこれもと手を伸ばしても仕方ありませんので、せめてやってきたことを発揮できずに終わるというシナリオだけは避けましょう。
知っていたのに書けなかったとか、体調が優れずにできなかったということほど悔しい物はありませんから、眠くなったら頑張らずさっさと寝てしまうことです。
取り組みまとめ
1.応用情報技術者試験下調べ
2.午前問題の過去問にチャレンジ
3.過去問丸暗記(問題集1冊or過去問4〜6回分)
4.オリジナル問題へチャレンジ
5.過去問暗記追加(+過去問2〜3回分)
6.午後問題にざっくりとチャレンジし、分野を決める
7.分野別午前問題で午後の基礎固め
8.午後問題集をひたすら読む
9.ちょっと午後問題解いてみて確認
1ヶ月のうち「1.」から「6.」までで3週間を使いました。
残りの1周間が実質午後対策の時間で分野決めは一日で終わらせました。
暇があれば午前問題集分野別をやり、その分野の午後問題を読むことを繰り返していました。
印象としては午前を完璧に固められるかが9割、残り1割が問題分を読めるかです。
よく「午後問題は国語の問題」と言われますが、国語の問題に感じられるようになるには、午前問題で基礎知識を固めておくことが必要です。知識があって初めて国語勝負になるということを忘れないでください。
私の選択した分野
参考に私の選択した分野は以下のとおりです。
・情報セキュリティ
・ネットワーク
・システムアーキテクチャ
・アルゴリズム
・組み込みシステム
の5つです。
保険にシステム監査とストラテジーを準備していました。
システム監査は要する知識は少なく、ほとんど国語勝負になります。午前の対策をしていたため、知識は自信がありましたから万が一当日国語的に簡単であれば選択するつもりでした。
ストラテジーは勉強しているうちに面白いと思うようになり、午前勉強もしっかり行いました。しかしここは例年難しいようですから、アルゴリズムなどがどうしても思いつかない場合に保険として準備しましたが、最後の手段程度です。
結局、最初に準備していた分野を選ぶことになりました。